
会員の活躍の場を広げるため、新たな事業を始めることは重要な課題です。しかし、一から新しい事業を立ち上げるには、多大な時間と労力が必要となります。
そこで今回は、既存の事業を少し工夫するだけで、新たな顧客を発見し、新事業につなげることができるという事例をご紹介します。福岡市シルバー人材センターの「親孝行代行サービス」を参考に、その手法を紐解いていきましょう。
親孝行代行サービスとは?
福岡市シルバー人材センターが展開する「親孝行代行サービス」は、会員が、市内に住む親御さんのご家庭を訪問し、家事援助などを行うサービスです。掃除やゴミ出し、草むしりといった日常的なお手伝いだけでなく、話し相手になることもサービスの一つです。

掃除やゴミ出し、草むしり….
ウチの家事援助の内容とそんなに変わらない気がするけど…?

そうなんです!そこが親孝行代行サービスのスゴいところなんです!
なぜ親孝行代行サービスが画期的なのか?
このサービスのポイントは、既存のサービス内容をほぼ変えずに、顧客層を拡大している点にあります。
トレーニングや料金設定の必要なし
既に実施している家事援助のノウハウをそのまま活かせるため、新たに会員に研修を行なったり、サービス内容や料金について検討を重ねるといった手間がかかりません。

事務作業の変更のみ
親孝行サービスは依頼主が訪問先と異なるため、作業報告や請求などの書類の変更など事務的な変更は必要ですが、大きな準備期間や予算は不要です。

新たな顧客を開拓できる
シルバー人材センターは請けられる仕事のエリアが制限されるため、従来は市内の個人宅を対象としていましたが、親孝行代行サービスでは、遠方に住むお子さんや親族といった、新たな顧客層を開拓することができます。


なるほど!家事援助をアレンジして「親孝行代行サービス」にしたら、全国から依頼が入る可能性があるってことだね。
既存事業を横展開するメリット
この事例からわかるように、既存の事業を少し工夫するだけで、新たな収益源を生み出すことができます。既存事業を軸に、依頼主と受益者(サービスを受ける人)をずらして事業を横展開することには、次のようなメリットが考えられます。
短期間・低コストで開始できる
既存の事業をベースにしてアレンジを加えるだけなので、新規事業立ち上げに比べて、短期間かつ低コストで開始できる可能性があります。

リスクを軽減
新たな設備投資や道具の購入、仕入れなどが不要なうえ、既存事業のノウハウがあるため技術不足などによる失敗のリスクを軽減できます。

組織の活性化
比較的スピーディーに低リスクで新規事業が立ち上げられるため、新規事業のハードルが下がり若手職員のアイデアが採用されやすくなるなど、組織の活性化につながります。

まとめ
親孝行代行サービスのように、既存の事業をベースにしてアプローチをする相手を変えることで新たな事業としてリリースすることができます。家事援助サービスであれば、ほかにも「旦那様が奥様へのプレゼントとして依頼する」「自治体が赤ちゃんのいる家庭に子育て支援の施策として提供する」などの切り口も考えられます。皆さまも、自社のサービスを見直し、新たな可能性を探してみてはいかがでしょうか。