デザイン編

前回はデザインの基本4原則の1つめ整列を解説しました。

今回は3つめの強弱です。この原則を使えるようになると、デザインにメリハリが生まれ、大事なことを短時間で伝えられるようになります。また同じ文章量でも読み手に「文字ばかりで読みづらい」と思われることが少なくなります。それでは一緒に見ていきましょう。

大きさや線の太さ、書体の太さで強弱をつける

文章の中には、読み手に伝えたい重要な部分(タイトルや見出しなど)と、それに付随する部分(本文など)があります。

それらを区別しないでおくと、文章が長く感じられメリハリのないデザインになってしまいます。何について書かれている文章なのか、一番大事な情報は何なのかを、文字の大きさや書体の太さなどを使って伝わりやすくするのが「強弱」の原則です。

ジャンプ率を調整することが大切

デザインの世界では、文字などの大きさの差をジャンプ率と言います。

ジャンプ率が低すぎる文章は読み手に「長い文章だな」「読むのが面倒だな」と思われてしまう事が多くなりますが、ジャンプ率は高いほど良いというものでもありません。

  • ジャンプ率が高い文章:メリハリのある明るい印象、分かりやすい、派手
  • ジャンプ率が低い文章:落ち着いた印象、学術的、知的

例えば契約書や定款などは派手さやメリハリよりも整然と落ち着いた印象が適しているのでジャンプ率は低めにします。逆にチラシにはインパクトや分かりやすさが重要なのでジャンプ率は高めにします。

このように、デザインする目的や対象に合わせてジャンプ率を調整することが大切です。

それでは熱中症対策の案内文を例にして見ていきましょう。

ジャンプ率が低いと文章は長く感じる

下の例は、熱中症に関する注意喚起の文章です。前回までに解説した接近と整列の原則に従ってはいますが、若干インパクトが弱い感じがします。また、タイトルが本文と似たサイズ・色のため、文章量が多い印象を与えてしまっています。

ジャンプ率が高いと分かりやすい

タイトルの文字サイズを大きくして、ジャンプ率を高めてみました。タイトルと見出しは文字を太くし、色も少し変えました。これだけで全体にメリハリが生まれ、読みやすくなったのではないでしょうか。

このように重要な部分は大きく太く、時には色を変えることでメリハリが生まれて分かりやすくなります。注意していただきたいのは、文字を全体的に大きくするとか、全部を太字にすればいいという訳ではないこと。あくまで「差」をつけることが重要です。

日付や肩書きにも強弱をつける

差をつけるということは「何が重要かを見極めること」でもあります。

日付や肩書きのある人物紹介の際、同じ書体・文字サイズを使うよりも、大事な部分を見極めて大きく太くすることを意識しましょう。重要な部分がパッと目に入るようになり、全体としても垢抜けた印象になります。

やりがちな失敗例

下は「分かりやすくしよう」「目立たせよう」と手を加えた結果、かえって読みづらくなってしまった例です。残念ながら、このようなデザインを見かけることは少なくありません。文字装飾を多用すると、このようにガチャガチャした印象になりがちです。伝えたいことの優先順位を考えて、装飾は最小限に留めましょう。

まとめ

強弱は、文章全体の印象に関わる重要な原則です。「スペースが空いているから」「情報が多いから」という理由でタイトルの文字サイズを決めるのではなく「何を一番伝えたいのか」から逆算してデザインすることを心がけてください。

次回はいよいよ4つ目の原則「反復」です。お楽しみに!