「あたりまえ」に着目して新しい企画を考える

「なにか、新しい企画考えてよ」
会議でそんなことを言われて「そんな簡単に言われても困るよ」と思ったことはありませんか?

今回は、新しい企画を考えるための方法をひとつご紹介したいと思います。
これは私がずっと前に読んだ本(名前は忘れてしまいました...)に書いてあったので、もしかするとご存じの方もいらしゃるかもしれません。使う物は紙とペンだけ。簡単なのに思わぬアイデアが浮かんだりするので、個人的にお気に入りの方法のひとつです。

ゼロから考えるのは大変

人間の頭は、見たことがないもの、体験したことがないものをゼロから思い描くことは難しいと言われています。なので全く白紙の状態から、いきなり新しい企画を考えるのは困難です。

しかし、すでに知っていることや体験したことがあることを、他の知識や体験と置き換えることはそれほど大変ではありません。アイデアをゼロから生み出すのではなく、既にあるものをたたき台にしてアレンジするのです。

今あるものをアレンジするというと「小手先でちょこっと変えただけで新しい企画と呼べるのか?」と思われるかもしれません。もちろん今までの企画にオマケのように何かを追加するだけでは「新しい企画」とは呼べないでしょう。しかしこの方法では、ベースとなっている部分(普段あたりまえに思っている部分)に着目し、そのひとつずつを変化させてアイデアを出し、最終的にそれらを組み合わせるというやりかたで、まったく新しい企画を作ります。

今回は例として「新しい入会説明会の企画を考える」をテーマに進めてみたいと思います。

まずは既存の説明会について整理する

最初に行うことは、情報の整理です。普段やっている入会説明会について、概要を箇条書きで書き出します。あたりまえに思っている部分も省略せず書き出してみてください。

現在の入会説明会

  • 会場はセンターの会議室
  • 時間は平日の午後13時から2時間程度
  • 動画を見たあと職員が資料で説明
  • 参加費無料

こんな感じでしょうか。実際はもっと書き出せると思いますが、今回は4つだけ挙げてみました。

ひとつだけ変更するとしたら?という視点で考えてみる

次は書き出した項目のうちの1項目だけに注目して「ここを変えるとしたら、どんな可能性が考えられるかな?」という視点でアイデアを出していきます。いっぺんに全部を変えようとしないで1項目ずつ順に考えるのがコツです。アイデアを出すときは「これは現実的ではないな」「さすがに予算的に無理だろう」などの判断は脇に置いて、まずは書き出すことに専念しましょう。以下は私が思いついたアイデアの一部です。

会場はセンターの会議室→会場を変えてみる

  • 飲食店を貸切にして開催する
  • 屋外で開催する
  • スーパー銭湯で開催する
  • ショッピングセンターで開催する
  • 参加者の自宅で参加する(オンライン)

時間は平日の午後13時から2時間程度→時間を変えてみる

  • 土日に開催する
  • 早朝に開催する
  • 夜に開催する
  • ランチタイムに開催する

動画を見たあと職員が資料で説明→進めかたを変えてみる

  • 職員ではなく既存会員が説明する
  • 有名人が司会進行をする
  • 動画を見る代わりに実際に働いている現場を見に行く
  • スライドではなく人形劇で説明する

参加費無料→参加費を変えてみる

  • 参加費を有料にする(有料でも参加したい内容にする・入場料がかかる場所で実施する)
  • 参加したらお金がもらえる or 特典がもらえる

このように、既存の説明会の概要をたたき台にして、そのうちの「一部分を変える」という視点で考えると、ゼロから考えるより簡単にアイデアが湧いてきます。

アイデアを組み合わせる

項目ごとにアイデアが出せたら、次は書き出したアイデアを組み合わせたり、予算や実現可能性を踏まえて取捨選択していきます。このとき各項目1つずつ選ぶ必要はなく、全体で1つか2つ採用するだけでも構いません。いくつかを組み合わせてみるうちに別のアイデアが生まれることもよくあります。

試しに上で挙げたアイデアを組み合わせてみます。

自宅で参加×夜に開催

平日の夜に自宅からオンラインで参加できるスタイルにすることで、定年を控えた60代の人(会員の予備軍)や昼間に働いている人(転職検討者)の人たちが退職前に入会説明会に参加することができます。オンライン開催にすることで、会場の予約や資料の印刷などの手間がかからず、入会希望者はその場で申込みフォームに必要事項を入力することができて手続きも簡略化できそうです。また、ある程度パソコンのスキルがないと参加できないため、ITスキルをもつ人材が欲しい場合にも有効かもしれません。

スーパー銭湯で開催×会員が説明×参加費を有料にする

元気なシニアの方が多く集まる場所・行きたい場所で説明会を開催するというスタイルです。会場のスーパー銭湯で働いている会員がいれば、仕事内容やりがいを語ってもらいましょう。参加者は具体的な仕事を知ることができますし、楽しそうに働く人の話はスーパー銭湯のイメージアップにも貢献できそうです。説明会に参加するために会場へ行くというパターンに加え、たまたま会場にいて参加するというパターンが生まれるので、新たな層へのアプローチになります。スーパー銭湯側の協賛があれば、参加者にクーポン(次回無料券など)を配布することも可能かもしれません。

いかがでしょうか。パッと思いついただけでも今までとは違った新しい入会説明会の企画案が2つもできました。こうやってアイデアを組み合わせながら考えていくと、次々に新しい企画が生まれてきます。複数人で考えると、より幅広いアイデアが生まれると思います。皆さんも、ぜひ新しい企画を考える時に試してみてください。

まとめ

  • 既存の企画を棚卸しして、項目ごとに「ここを変えるとしたら?」でアイデアを出す
  • アイデアを出す時はいちいち判断しない
  • アイデアを組み合わせることで新しい企画が生まれる