公益ってなんだ

シルバー人材センターの多くが「公益社団法人」である。今回は、この「公益」について改めて考えてみたいと思う。

「公益」ってなんだ?

公益とは"公共の利益"を略した言葉。つまり個人や特定の集団のための利益ではなく社会全体に対する利益のことである。例を挙げると、教育・医療・インフラ整備などである。

公益と似たような言葉に「共益」という単語がある。こちらは社会全体ではなく特定の団体やコミュニティまたはその構成員に対する利益を指す。あまり聞き慣れないという人も、アパートやマンションの共用部に関する支出を賄うために入居者が支払う「共益費」という言葉は聞いたことがあるのではないだろうか。共益団体には、マンションの管理組合や同窓会、互助会などが含まれる。

さて、ここで疑問を持つ人もいるかもしれない。シルバー人材センターという組織が、会員に対して適切な仕事を紹介し、健康・生きがい・収入を提供することを主な目的とする団体であるならば、それは団体の構成員である会員の利益を目指す組織であり、公益ではなく共益と言えるのではないか、と。

実際、公益法人制度改革の際には、会員の共通の利益を図る事業を主とする「互助会」には公益性がないとみなされ、公益法人を断念して共益団体として一般財団法人等へ移行したという事例がある。しかし多くのシルバー人材センターは、事業を通じて不特定多数の者の利益の増進に寄与するとして公益社団法人に移行する道を選んだ。つまり「会員による会員のための組織」から「会員による社会の利益ための組織」に変化することを選んだとも言えるのではないか。

そういう意味では、これからのシルバー人材センターは、会員数や請負金額の増減などの単年度の数値だけで事業の成果を測るのではなく、もっと長期的にどれだけ社会を良くすることができたか、を評価するべきではないだろうか。なぜなら、社会を良くすることこそが公益法人の目的だからだ。

社会的インパクト評価のススメ

しかし「どれだけ社会を良くすることができたか」をどうやって測ればいいのか。

そこで役立つのが社会的インパクト評価という手法だ。社会的インパクトとは、簡単に言えば事業や活動を実施した結果が、短期的・長期的に社会に与える影響のことを指す。活動の結果(アウトプット)から先の影響(アウトカム)に対して指標を設定して評価するというものなのだが、社会的インパクト評価によって活動の社会的価値を見える化することで、関係者(ステークホルダー)の理解や協力を得やすくなったり、組織や事業の改善に繋げることができる。自分たちが取り組んでいることが社会をどう良くしているのかが見えるようになることで、従事する人のモチベーションが高まるというメリットもあると言われている。

私もまだまだ勉強中なので、もし取り組んでみたいというセンターがあれば一緒に勉強しましょう。

詳しくは社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブのサイトへどうぞ。