「一時的には損をしたとしても、将来の大きな利益になることをしよう」

「損して得取れ」は、昔からのことわざなので知ってはいますが、実践するのはなかなか難しいものです。
モノやサービスの値段が上がり、戦争やインボイス制度導入などで先行きが不透明な今の状況ではなおさらかもしれません。

目先の損得に捉われすぎないこと

コスト削減のために、これまで開催していたイベントを中止する、チラシを撒く回数を減らす、外注していた業務を職員に振り分ける....こういった対策をしているセンターがあるという話をちらほら耳にします。たしかにコスト削減は大事です。しかし、以下のような結果になってしまっては本末転倒ではありませんか?

  • イベントを中止することで地域の人にシルバー人材センターを知ってもらう機会が減り、結果として個人からの発注が減ってしまう
  • チラシの回数を減らしたことで説明会への来場者が減り、新規の会員が減少してしまう。
  • 外注していた業務を職員に負担させることで職員が疲弊し、モチベーションが下がり離職してしまう

事例紹介

利益ではなく地域のシルバー人材センターとしての使命感で続けていた独自事業が、新たな受注に繋がったという事例をご紹介します。

2021年8月、松阪市で新型コロナウィルスのワクチン接種会場に自治体による託児所が設置されました。これは三重県で初めての試みだったそうです。そしてこの出張保育の事業を引き受けていたのが松阪市シルバー人材センターでした。松阪市シルバー人材センターでは、もともと子ども一時あずかり「ちびっこはうす」という独自事業を行なっていました。局長にお話を伺ったところ「ちびっこはうす事業は単体では収益にはなっていない。しかし地域の子育て世代を支援することは、シルバー人材センターがやるべき事業だと考えて続けていた。市から出張保育の仕事を受託できたのは、ちびっこはうす事業を行っていたという実績を評価された結果だと思う」とおっしゃっていました。

儲かるか儲からないかではなく、"シルバー人材センターがすべき事業かどうか"で判断されていることに、とても感銘を受けました。

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まとめ

私たちはつい目先の利益や短期的なコストダウンに惑わされてしまいがちです。しかし事業は1年や2年の短期決戦ではありません。すぐに結果は出ないかもしれない新しい事業に取り組み、既存の事業を絶えずブラッシュアップし、地域やお客様との関係を育む活動をやり続けることが、私たちにとっての「損して得取れ」の実践なのではないでしょうか。さら言えば「得をするために損する」のではなく「自分たちがすべき事をする」ことが、結果として良い未来に繋がっていくのだと思います。

トリガーコーポレーションは数年前に「シルバー人材センターを応援するデザイン事務所」と自分たちを定義しました。これからも事業のブラッシュアップと自己研鑽を続けてシルバー人材センターを応援し続けていきたいと考えています。シルバー人材センターの皆さんも、会員や地元企業、地域のために、シルバー人材センターがやるべき事業をこれからも続けていってください。