広報活動の対象者

対象者を絞らずに制作した広報物は「できるだけ多くの人に情報を届けたい」という思いとは裏腹に、誰も自分に宛てたものだと感じない(=誰の心にも響かない)ものになりがちです。

今回は広報活動の対象者を視覚的に確認するための「ステークホルダーマップ」をご紹介します。

トリガー

ステークホルダーとは、シルバー人材センターの事業に直接的または間接的に関わる利害関係者のことです。

ステークホルダーマップを作ろう

ステークホルダーマップといっても、特に難しいものではありません。用意するものは紙と筆記用具だけ。

そこに下記を参考にしながらシルバー人材センターに関わる人たちを属性ごとに丸や四角で囲みながら書き出していきましょう。

ステークホルダーマップの例

細かく書き出した方がより具体的に考えられますが、まずは簡単なマップでも構いません。

事業を行っている市町村内には、一般の住民の方と企業や行政などがあります。住民の中にはシルバー人材センターへの入会資格がある60歳以上の方が含まれ、更にその中に既に入会している会員が含まれます。

このように、それぞれのステークホルダーの属性は独立している場合もあれば重複または内包されている場合もあります。紙に書き出すことで、それぞれの関係性を視覚的に確認することができます。

実施している広報活動の範囲を書き込んでみる

現在すでに実施している広報活動(広報物)が、どのステークホルダーを対象にしているのか改めて考えて書き込んでみましょう。

下の図は「安全だより・事務局だより」と「入会説明会のチラシ」「広報紙」を記入したところです。他にもイベントやパンフレット、ホームページなど実施している広報活動について書き込んでみてください。

この段階で、新たに思いついたり細分化できそうな属性があれば書き足しましょう。

職員Aさん

会員の中には就業している会員と未就業の会員がいるね。

トリガー

その通りですね。ほかにも企業は業種ごとに分けたり、シルバー人材センターを利用したことがあるかどうかでも分けられます。

職員Aさん

会員の中には就業している会員と未就業の会員がいるね。

トリガー

その通りですね。ほかにも企業は業種ごとに分けたり、シルバー人材センターを利用したことがあるかどうかでも分けられます。

ステークホルダーマップを見てみよう

ある程度ステークホルダーマップが書き込めたら、次は検証します。広報活動とその対象者の範囲から、改善できるポイントがないか見てみましょう。

広報活動の範囲が広すぎないか

広報活動の範囲を見たとき、範囲が広いものばかりなら検討の余地がありそうです。

この場合、それぞれの広報活動・広報物において重要なステークホルダーは誰なのかを再検討し対象者を絞り込めないか検討します。対象を絞ることが難しい場合は、広報活動や広報物をいくつかに分割すると良いでしょう。最初にも書きましたが「できるだけ多くの人に届けたい」という思いで対象を絞らずに八方美人的なアプローチをしても、誰の心にも刺さらない印象の薄い広報活動になってしまいます。

対象者を絞り込めると、伝えるべきメッセージが明確になり成果が出やすくなります。

例えば、現在お仕事募集のチラシを全戸配布しているとします。この場合、対象者は市内全域の全家庭と全企業です。対象が広いので、キャッチコピーは「シルバー人材センターが皆さんのお困りごとをお手伝いします」のような当たり障りのないものになりがちです。そして全戸配布ですから印刷や配布にかかるコストも大きくなります。

そこで仮に対象者の範囲を”子育て中の家庭"と"工場の経営者"に絞ってみましょう。子育て中の家庭に対しては、請け負える仕事の中から一般家庭の子育て支援に関するものだけを抜粋した「子育て応援リーフレット」を作り、市内の保育園や幼稚園、小児科などで配布します。工場の経営者に対しては、会員が既に就業している工場の経営者や就業中の会員のインタビューに加え、シルバー人材センターを利用するメリット(求人コストがかからない・社会保険料が不要など)を解説した「工場向け人材不足解消ガイドブック」を作ります。それぞれ対象者を絞り込むことで、ステークホルダーの関心を引くキャッチコピーやデザインを採用した反応率の高い広報物を制作できます。また配布先も絞れるため印刷部数も少なくなりコストダウンも期待できます。もちろん絞り込むことで対象から外れるステークホルダーも発生しますが、季節単位や年単位で広報活動の対象を移動させたり全体への広報活動はホームページや市報などを活用してカバーするという方法も考えられるかもしれません。

トリガー

Webサイトの場合、サイト全体で考えるよりページやコンテンツごとに対象者を想定すると良いでしょう。
下記の記事も参考にしてみてください。

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Webサイトの場合、サイト全体で考えるよりページやコンテンツごとに対象者を想定すると良いでしょう。
下記の記事も参考にしてみてください。

ホームページを整理しよう

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漏れている対象者を見つける

ステークホルダーマップを細かく書き込んでいくと、どの広報物・広報活動でもカバーできていない(=今までアプローチしていなかった)ステークホルダーを見つけることもできます。新たなステークホルダーが見つかったら、どんな施策ができるのかを広報委員会などで考えてみましょう。

例えば以下のようなステークホルダーが見つかったとします。皆さんのシルバー人材センターではどんな広報活動が考えられるでしょうか?

  • 過去にシルバー人材センターを利用していたが、ここ数年は依頼がない地元企業
  • 市内の空き家の持ち主で、市外に住んでいる人
  • 現在は正社員として働いている市内の60代で、1〜2年後に定年退職する予定の人
トリガー

ステークホルダーマップを使うと、現在アプローチしていないステークホルダーを発見しやすくなります。
ステークホルダー全員にアプローチする必要はありませんが、うっかり漏れていることもあるので、まずは書き出してみることが大事です。

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ステークホルダーマップを使うと、現在アプローチしていないステークホルダーを発見しやすくなります。
ステークホルダー全員にアプローチする必要はありませんが、うっかり漏れていることもあるので、まずは書き出してみることが大事です。

職員Aさん

もうすぐ退職する人たちに何か講習会を考えてみようかな。ステークホルダーを細分化すると、新たな対象者や広報活動のアイデアが湧いてくるね!

職員Aさん

もうすぐ退職する人たちに何か講習会を考えてみようかな。ステークホルダーを細分化すると、新たな対象者や広報活動のアイデアが湧いてくるね!

トリガー

以前紹介した「関係構築ピラミッド」は、ステークホルダーとの関係性の深さを考えるフレームワークでした。今回の「ステークホルダーマップ」は、ステークホルダーを面で考えるときにつかうフレームワークです。上手に使って広報活動の計画に役立ててください。

トリガー

以前紹介した「関係構築ピラミッド」は、ステークホルダーとの関係性の深さを考えるフレームワークでした。今回の「ステークホルダーマップ」は、ステークホルダーを面で考えるときにつかうフレームワークです。上手に使って広報活動の計画に役立ててください。

高橋

(高橋の独り言)
今回の記事は説明が分かりにくかったかもしれません......
もう少し分かりやすく整理できないか考えてみます。