新年度が始まり、今年度の目標や事業計画が発表される時期になりました。
今回は「目標はSMARTに」というテーマで、目標設定に役立つフレームワークをご紹介します。

職員Aさん

今年の目標は「創意工夫で会員を増やす」だよ

トリガー

残念ですが、それだと目標としては不十分かもしれません。
目標設定でよく使われるSMARTというフレームワークがあるのでご紹介しますね。

SMARTとは

SMARTとは、効果的な目標設定をするための5つのポイントSpecific(具体的)・Measurable(測定可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性)・Time-bound(期限がある)の頭文字を取ったものです。

Specific (具体的)

まず、目標は具体的であることが重要です。漠然とした目標では、達成のための計画が立てられませんし、達成したかどうかも検証できません。

例を挙げると、目標が「安全就業」だった場合、事故の件数が昨年度より減ったら達成したことになるのか、事故が0だったら達成なのか、安全講習会を開催したら達成なのか人によって解釈が曖昧になってしまいます。スローガンとして掲げるのは良いのですが、目標として挙げるには具体性が足りないと言えるでしょう。

Measurable (測定可能)

目標は測定可能であることが大事です。簡単に言えば数字で示すということです。目標会員数や受注件数などは数値目標があることで具体的な計画が立てやすくなりますし、年度の途中で進捗状況も把握できます。

職員Aさん

数値目標を掲げたら担当者に嫌がられそう。それに努力だけではどうすることもできないこともあるし...

トリガー

たしかに数値目標に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんね。その場合、最初のうちは行動を数値化して目標にするといいですよ。
会員数ではなく説明会の開催数、受注件数ではなく企業への訪問件数など行動を数値化してみてはいかがでしょうか。

職員Aさん

それならできそうだね。

Achievable (達成可能)

目標は高ければ高いほど良いというものではありません。到底実現できないような非現実的な目標では、誰も本気で取り組もうと思いません。かといって、何もしなくても達成できてしまうほど低い目標では掲げる意味がありません。「頑張れば期限内に達成できそうだ」と思えるくらいを目安にしましょう。

Relevant(関連性)

掲げた目標が、組織の理念や中長期の目標と関連性があるかどうかも重要なポイントです。目標は達成したけれど、それが中長期の目標達成に全く役に立たないものであれば、そもそも取り組む必要がないかもしれないのです。

Time-bound (期限がある)

目標にはいつまでに達成するかの期限が必要です。具体的で計測可能かつ達成可能そして理念に関連性があったとしても「いつか達成できたらいいな」というのでは目標になりません。「8月末まで」「毎月15日まで」など目標ごとに期限を決めることが重要です。

SMARTな目標を立てるメリット

SMARTな目標を立てることには、いくつかのメリットがあります。

モチベーションとチームワーク

具体的で達成可能な目標が目の前にあるのと、達成の基準が曖昧で期限も決まっていない目標では、前者の方が取り組む人のモチベーションが高くなるのが一般的です。チームで共通のゴールに向けて行動したり、協力して目標を達成していくことでチームワークや連帯感を高めることにも繋がります。

目標達成の確率が上がる

SMARTな目標は進捗管理がしやすいため、計画に遅れが出た場合にも早期に軌道修正ができ、最終的な目標達成の確率が高まります。

トリガー

定期的に進捗確認することが大事ですね。
遅れが出ている時は、人材や予算の配分や手段の見直しを検討します。
くれぐれも担当者を責めるための進捗管理にならないよう注意しましょう。

失敗を翌年の糧にできる

そもそもの目標が曖昧だと、達成したかどうかの検証もできないため、毎年同じ目標を掲げる(そして達成しない)ことを繰り返すことになりがちです。SMARTな目標設定をもとに計画を立てていれば、もしも目標が達成できなかったときでも原因が分かるため対策が立てやすくなります。結果として翌年以降の目標設定の精度が上がり、達成のための計画もブラッシュアップされていきます。

トリガー

目標がSMARTじゃない場合と、SMARTな場合の2つのケースを見てみましょう。

目標がSMARTじゃない場合

職員Aさん

(4月)今年の目標は女性会員を増やすことです!目標人数はありませんが、とにかくたくさんの人に入会してもらえるように頑張ります!

(1年後)

職員Aさん

(3月)結果は28名でした。僕はまぁまぁ良いと思ったのですが、局長からは少ないと言われました。結構頑張ったと思うんですけどね。
説明会の回数を増やした方がいいのか、チラシを変えた方がいいのか、説明会の内容を変えた方がいいのか、よく分かりませんがとにかく来年度も頑張ります。

  • チラシの反響や説明会の参加人数の数値目標がないので、結果が成功なのか失敗なのかの判断ができない
  • 目標達成の基準がないためモチベーションが高まらない
  • 「頑張ったかどうか」という曖昧な基準で事業の評価をしなければならず、事業のブラッシュアップができない

目標がSMARTな場合

職員Aさん

(4月)今年は新規の女性会員を30名増やすのが目標です。説明会を7月・9月・2月の3回開催します。各回15名の女性の参加を目標にし、そのうち10名(67%)の入会を目指します。チラシは各回3,000枚を配布予定です。

(1年後)

職員Aさん

(3月)結果は28名の入会でした。7月と9月の説明会に女性が30名ずつ参加し、各14名の入会でした。2月の説明会は大雪のため中止でした。チラシの反響は想定以上でしたが、説明会参加者に対する入会者の割合は目標に届きませんでした(67%の目標に対し実績46%)
説明会を3回開催していれば30名は達成できたと思います。来年度は雪の時期を避けて3回開催することと、入会率を高める施策を考えてみます。

  • 会員数だけでなくチラシの反響や説明会の参加人数などの数値目標があるので、それぞれの成果に対して評価ができる
  • 目標が未達成でも原因が判るため無駄に悩む必要がなくモチベーションが保てる
  • うまくいかなかった点が判るため、来年の事業に活かすことができる
職員Aさん

いままで何となく目標を立ててたけど、今年はSMARTのフレームワークを使って目標設定してみるよ。

まとめ

  • 目標を立てるならSMARTを意識しよう
  • 結果の数値目標に抵抗感がある場合は行動を目標にしてみよう
  • SMARTな目標は失敗しても来年以降の糧になる