
メディア・ユニバーサルデザインとは?
私たちの社会は、チラシや冊子などの視覚メディアに溢れています。しかし、視力が弱い、色覚に障がいがある、母国語が日本語ではない、読み書きが苦手など、様々な理由で情報を受け取れない人がいます。
メディアユニバーサルデザイン(以下MUD)は、そのような課題をクリアして「誰でも見やすく、分かりやすく、使いやすいメディア」を作るための考え方です。年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが情報にアクセスできるように情報伝達のバリアフリーを目指します。
MUDを意識したデザイン(配色編)
誰もが見やすいデザインには、どのような工夫が必要でしょうか。例えば高齢者や生まれつき色覚に障がいがある方には、以下のような症状がみられます。
高齢者
- 白内障や黄斑変性など眼疾患を持つ方は、明度差の少ない色を見分けづらい
- 老眼で細い線が見えない、文字同士がくっついて見える、ぼやけて見える
色覚に障がいのある方
- 識別が困難な色がある
例えば下のような配色のデザインは、D型(2型)色覚の方やP型(1型)色覚の方には、このように見えます。
配色のMUDポイント①
背景と文字色に明度差をはっきりとつける
背景の色が淡い場合は、文字を黒などの濃い色にする。逆に背景の色が濃い場合は、文字を白抜きにするなど、明度差を意識することで文字が読みやすくなります。 これにより視覚に障がいがある方や、明度差の少ない色を見分けづらい高齢者の方にも伝わりやすいデザインに近づきます。
不安な場合は白黒印刷をして、しっかりと文字が読めるか確認してみましょう。またフォントの種類やサイズ、行間、そして全体の配色バランスも考慮することで、より効果的な視覚デザインを実現できます。



配色のMUDポイント②
見分けづらい色を並べて配色しない
高齢者は加齢に伴う目の変化により、青と緑、紺と黒など区別しにくい色を見分けるのが難しくなることがあります。例えば、信号機の色がごちゃつくように見える場合もあるでしょう。また色覚に障がいのある方は、生まれつき赤と緑の区別がつきにくい人がいます。
このような視覚的な違いに配慮した上で、特定の誰かだけではなく誰もが快適に利用できるデザインを心がけることが大切です。
それぞれの媒体でできる工夫を取り入れていこう
Webサイト(ホームページ等)
- 文字サイズや行間を調整する
- 色使いに配慮する
- 音声読み上げ機能を提供する

印刷物(広報紙、チラシ)
- 文字を大きくする
- 読みやすいフォントを使う
- 背景と文字のコントラストを強める

動画(ビデオやSNS)
- 字幕や音声解説をつける
- 手話通訳をつける

これらの実践例は、ほんの一例です。MUDの適用方法は無限大であり、それぞれのメディアの特性を活かしつつ常に利用者の声を聞きながら定期的に改善していくことが大切です。誰もが使いやすく、便利で快適なデザインが社会に広がることで、より良い社会の実現に近づけたら嬉しいですね。