こんにちは。トリガーコーポレーションの高橋です。
皆さんはファンドレイジングという言葉をご存知ですか? NPOや公益法人など非営利組織に携わっている人なら聞いたことがあるかもしれませんね。簡単に言うと、ファンドレイジングとは非営利団体の資金調達を意味します。「Raising Fund」(資金を集める)という言葉が名詞化したものです。ただ次回に説明しますが、ファンドレイジングは単なる資金調達ではなく、とても重要な役割があるのです。

今回からシルバー人材センターのファンドレイジング入門と題して、複数回にわたりシルバー人材センターのファンドレイジングについて書いていきます。「資金調達とデザイン講座って関係ないんじゃない?」と思うかもしれませんが、実はファンドレイジングは広報活動と密接な関係があります。私は2017年にファンドレイジング・スクール(主催:日本ファンドレイジング協会)に入学し、2018年にはニューオリンズで開催されたアメリカのファンドレイジング大会(AFP)にも参加させていただきました。ファンドレイジングを学ぶ中で、多くの現役ファンドレイザーの方とお話しする機会がありましたが、NPOでは広報の担当者がファンドレイジング業務も担うのが一般的で、ファンドレイジングのセミナーには広報担当の方が多く参加されていました。このブログを読んでくださっている方の中には、広報を担当されている方も多いはず。広報担当でなくても、仕事の中でシルバー人材センターの活動を誰かに伝える機会があるのであれば、きっとファンドレイジングの知識が役に立つと思います。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ぜひ読んでいただければと思います。

ファンドレイジング(Fundraising)とは、民間非営利団体(Non-Profit Organizations:日本では公益法人、特定非営利活動法人、大学法人、社会福祉法人などを含む)が、活動のための資金を個人、法人、政府などから集める行為の総称。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ファンドレイジングの範囲と一体的発展戦略

ファンドレイジングの範囲

先ほどファンドレイジングは非営利団体の資金調達だと説明しましたが、もう少し詳しく見てみましょう。非営利団体のファンドレイジングといった場合、狭義には寄付集めを指します。寄付集めだけでもクラウドファンディングやバースデードネーション(自分の誕生日に自分の支援したい団体への寄付を募る行為)など、新しい仕組みがどんどん増えていますが、寄付以外にも会費や助成金、補助金、事業収入や融資など様々な資金調達の方法があります。

職員Aさん

シルバー人材センターの場合、会費・事業収入・補助金が主な収入だよね。

事業・組織・財源の一体的発展戦略

非営利団体は利益を最大化することが目的ではありません。そのため資金繰りに困っていない団体は、資金調達への関心が低い状態になりがちです。しかしファンドレイジングに戦略的に取り組んでみると、信用度が上がって事業が拡大したり、ファンドレイジングの資料を作る過程や外部に説明する機会を通してスタッフが自団体への理解を深めて成長したり、外部の協力者が増えて組織の力が増す、ということはよくあります。つまり財源と事業と組織は互いに影響を及ぼし合っているということです。

シルバー人材センターは、会員が受益者でもあり運営主体でもあり、事業の資源でもあるという少し特異な構造の非営利団体です。だからこそ、会員を単なる受益者(メリットを享受する側の人)や事業の資源(依頼された仕事に行ってもらう人)と捉えたり、事業・組織・財源の1つだけを強化しようとすると、どこかで行き詰まってしまいます。事業・組織・財源を一体的に考え、会員を寄付者(資金提供者)と見立てたり、組織の一員(スタッフ)と見立てて考えてみることが、新しい戦略を生み出すきっかけになるでしょう。

まとめ

  • ファンドレイジングとは非営利団体の資金調達を指す言葉である。
  • 事業・組織・財源がバランスよく成長する一体的発展戦略が大切。
  • シルバー人材センターの場合、「会員」が事業・組織・財源のすべてにおいて重要である。
職員Aさん

事業と組織と財源の成長戦略か。中期計画を立てるときにも役立ちそうだね。
ただ正直なところ、ちょっと難しかったな...

トリガー

お疲れ様でした。確かに簡単ではないですよね。次週はもう少し具体的な説明に移る予定です。
また来週も読んでくださいね。