こんにちは。トリガーコーポレーションの高橋です。
今回はシルバー人材センターのファンドレイジング入門の3回目です。過去の投稿を読んでない方は、先に過去の投稿から読んでいただくと分かりやすいと思います。

シルバー人材センターのファンドレイジング入門
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シルバー人材センターのファンドレイジング入門2
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前回のまとめ

  • シルバー人材センターの中心は会員である。
  • シンプルな関係図では会員を中心にした事業・組織・財源の一体的成長戦略を考えることは難しい。
  • 新しい関係図にステークホルダー(影響力のある関係者)との関係性を記入することで、現状を可視化できる。

新しい関係図から戦略を考えよう

前回、会員を中心としたシルバー人材センターの新しい関係図を作成しました。その後、現状を可視化するため、関係図に事業・組織・財源とステークホルダーとの関係性を矢印で記入したところ、下の図のようになりました。この図を見ながら、戦略を考えるときのポイントを見ていきましょう。

新しい関係図を使ったステークホルダーとの関係性

新しい関係図から戦略を考えよう

(1)新しい関係性を作る戦略

戦略を考えるとき、新しいジャンルの取引先を開拓したり、新規事業を興すことを思いつくかもしれません。これは大きな成功を生む可能性がある反面、実現するには大きな負荷がかかる可能性があります。シルバー人材センターではひとりの職員が複数の業務を兼務しているため、既に仕事が詰まっていて新しいことに取り組む余裕がないことも多いと思います。その場合、まず業務を整理して負荷を減らすことをしないと、戦略を作ったとしても実行できずに担当者にプレッシャーをかけるだけになってしまいます。

(2)既存の関係性を強化する戦略

既に取引のある発注者に対して、発注の頻度や発注量を増やしてもらう働きかけをしたり、入会説明会の回数を増やすなど、今ある関係性を強化する戦略です。新しい関係性を0から作るよりも負荷は少なくて済みますが「依頼は増えたのに就業する会員が足りない」「会員は増えたのに紹介できる仕事が少ない」といった事態が起きる可能性があります。既存の関係性を強化するときは、事業・組織・財源のバランスを考えて実行することが重要です。

(3)相乗効果が生まれる戦略

既存の関係性を別の要素の成長に繋げて相乗効果が生まれるようにデザインするというのが3つめの戦略です。上手くいく方法を見つけるまでは試行錯誤が必要ですが、導入の負荷が少なく、一度仕組みを作ってしまえば継続的に事業・組織・財源をバランスよく成長させられる可能性があります。

実際には職員さんや会員さんがアイデアを出し合って、センターごとに現状に適したアイデアを出していくものですが、考え方として1つ例を挙げてみます。

例)地域住民からの業務依頼を組織の成長に繋げる

家事援助や草刈りなどの依頼を個人から請けたとき、発行する請求書にシルバー人材センターの紹介パンフレットと手紙を同封します。手紙は作業した会員が書くのが良いでしょう。手紙には今回の依頼に対するお礼と、自分がシルバーに入会して楽しく働いているということ、そして一緒に働く仲間を募集しているので、知り合いに60歳以上の方がいたら同封のパンフレットを渡してほしいというメッセージを添えます。手紙は毎回同じ文面のコピーにすれば、手間はそれほどかからないと思います。依頼を通じてシルバー人材センターに価値を感じてくれた方が、会員を増やすためのお手伝いをしてくれるという仕組みを作ることで、事業の成長→組織の成長という流れが期待できます。また手紙を書くことで会員自身が仕事の楽しさや自分の仕事に対する責任を再認識できる機会にもなります。

職員Aさん

ちょっとした工夫で相乗効果って生まれるんだね。

トリガー

事業・組織・財源の枠組みの中で、今やっている活動を別の要素の成長に繋げることができないか、という視点で考えてみるといいですよ。

まとめ

  • 新しいことを始めるときは、取り組む担当者のキャパシティを考慮する。
  • 何かを強化するときは、他の要素に悪い影響が出ないか注意する。
  • 取り組むための負担が小さく、相乗効果が生まれる仕組みを考えよう。